麻生大臣の老後に2000万円足りなくなる発言
麻生財務大臣が、6月4日、「老後資金として夫婦で2000万円の蓄えが必要になる」と発言した背景には、前日に公表された金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の公表があったからである。
マスコミはいつものように言葉尻をとらえ、「聞いてないよ~」状態で責め立てるが、そんな昔から言われてきたことが、今、具体的な数字となって、不安定な世の中で発信されたことに対して、空気的に違和感があるだけである。
それを高齢者的発想でもって批判して、お望み通りの謝罪の言葉を獲得し、なかったことにするのがマスコミの最近の手法である。
案の上、
- 6月3日金融庁報告書公表
- 6月4日麻生大臣老後2000万失言
- 6月11日金融庁の報告書受取拒否
という流れになってきている。
しかし、この報告書を受け取らなかったからと言って、老後に必要な2000万円が獲得できるものでもないし、不必要になるわけでもない点は誰の目から見ても明らかだろう。
この報告書で一番の問題点はやはり、老後に2000万円必要になるであろうデータである。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書の一番の問題点
この報告書で一番の問題点はやはり、老後に2000万円必要になるであろうデータである。
10ページの図のところ。特に、実収入209198に対して、実支出263718で、毎月約5万貯蓄を崩して生活しているという点である。
その際の高齢夫婦無職世帯の平均総貯蓄額2484万円である。
毎月5万円を崩して12カ月は5×12=60万円である。
つまり、
- 1年で60万円取り崩す計算になる。
- それが10年で、60×10=600万円である。
- それが20年で、60×20=1200万円である。
- それが30年で、60×30=1800万円である。
定年を60歳にするか? 65歳にするか? 70歳にするか?
先の計算式のように毎月5万円の赤字で12ヶ月生活し、それを30年繰り返せばおよそ1800万円必要になる。
もっとも簡単な解決法
先の計算式のように毎月5万円の赤字で12ヶ月生活し、それを30年繰り返せばおよそ1800万円必要になる。
95歳まで生きるとして、定年を60歳にするのか? 65歳にするのか? 70歳にするのか? という単純な話がまず問題になる。
極端な話、この話の不安を解消するならば、生涯現役であればなんら問題はない。もちろん、その他に若干の貯蓄は必要になるが…。
次に貯蓄ではなく、投資という方法へ切り替える方法である。
もちろん投資なので元本割れという損失リスクも発生するが、毎月5万円を得られる年利にすれば可能である。
- 800万の年利7%=56万円
- 1000万円の年利6%=60万円
- 2000万円の年利3%=60万円
という具合である。
パーセンテージは各々の貯蓄額によって工夫すれば何とかできない数字ではない。
残りは、実支出を実収入以下に抑える方法である。これは本来もっとも常識的な解決方法であるが…。
実収入約21万円に対して、実支出が約26万円使っているところを、21万円以下にしたら問題は解決する。
ただ、一番問題な点は、この実収入が今後も一定で推移するか? むしろ増える事は考えづらい点である。
富の80%を60代以上が持っている
ただ、一番問題な点は、この実収入が今後も一定で推移するか? むしろ増える事は考えづらい点である。
これは、AbemaPrime夏野氏が批判しているように、
「残酷だって言うけど、今、日本の国民金融資産は1860兆円あって、80%を60代以上が持っている」
と言うように、富の80%を60代以上が持っている点であって、それが動かなくなると結局経済も低迷し、お金が回らない状態となってしまう。
だから支出を減らすという事はお店やサービスにお金が払われないという事になり、結果として実収入も減っていく計算になるだろう。
仮に
でも、
- 1860兆円×80%=1488兆円があまり動かなくなる。
- 1860兆円×20%=372兆円が若干動く。
でも、
- 2000万円まで貯蓄したいと思ってるので、そんなに動かなくなる。
どっちに転んでもあまり好ましくない結果になるのかも知れない。
でも、確実に言えることは、生涯現役とあとは貯蓄としてではなく投資として資産を運用するという方法が現実的であるような気がする。
しかし、確実に言えることは、報告書の受取を拒否したからといって、問題と事実が消えるわけでなないという点である。
以上、老後に2000万足りなくなるという話でした。
コメント